当店の卓上盤専用の製材について
現在、日本全土に榧という立木が殆んどなくなってきています。宮崎産の材は営林署が閉鎖され、民間材が僅かに伐採される程度です。これからの時代、銘盤を造ることが可能な原木はまず有り得ないといっても過言ではないでしょう。
私共は、「伝統工芸という文化を後の世に伝えていきたい」その為に足付きの碁盤、将棋盤を作り続けています。昔は「足の型で作者が分かる」とまで云われ、作風がはっきりと表れていました。現在は生活様式が変わりつつ、畳の生活も少なくなりました。一般的な家庭では椅子の生活が多くなりつつあります。そのため、足付きの盤より卓上用(テーブル用)碁盤、将棋盤の需要が多くなってまいりました。
新たに原木を買うことができれば卓上盤専用の製材をし自然乾燥して製品にするという事が最良かと思いますが、それすらの材も入手困難な時代となってきています。そのため10年〜30年前に伐採し楽しみに残してきた樹齢300〜500年の六寸盤、七寸盤等を二寸〜三寸位の厚みにスライスして、一枚板の柾目や板目盤として姿を変えて生き続けられるよう魂を吹き込んで製作しております。
伐採しても直ぐに盤が作れる訳ではありません。自然に乾燥させながら最低8年くらいの歳月をかけて大切に保管します。しっかり乾燥させた状態から製作しないと、盤が大きく反ったり割れたりしてしまいます。購入時は盤の見栄えだけでなく、どれくらい乾燥したものなのか調べてから買いましょう。当店では乾燥年数を明記するようにしています。
一般的に流通している卓上盤は樹齢100年程度の小径木が使われています。このような樹齢300〜500年ある卓上盤は他店ではそうそう見られません。その木味の違いを実感してください。