吉田流太刀盛りについて
「太刀盛り(たちもり)」とは、碁盤を作る工程のうち、
盤の生命線とも言える面の目盛りを作る時に日本古来の太刀を用
いる方法です。
これは江戸貞亨時代の頃の「職人尽総合カルタ」に見られるよ
うに、古来より用いられてきた伝統ある工法を引き継いでいます。
それはたいへん高度な素晴らしい技術ですが、手間と時間の掛か
る非効率的なことから、近代の工法として行なっているところは
残念ながらほとんどありません。太刀盛りとうたっていても大幅
に作業を簡略した当店の技法とは全く異なるもの。仕上がりが違います。
当店は、囲碁の歴史と共に育まれてきた日本の文化をいつ
までも大切に守り続け、吉田流太刀盛りとして技術鍛錬に職人生
命をかけ今日に至っております。
太刀盛りの特徴は、その輪郭が鋭利な刃物で切り落としたよう
に明瞭になり漆の盛り上がりが高いことです。その上丸みをもっ
た線になることから純日本漆の深みある光沢と調和して盤面は広
く、生気を感じさせるものがあり、耐久性が抜群になります。
長い年月による先人達の努力によって洗練された作風が築き上
げられました。その技術を受け継いで一線一線入魂の仕事を致し
ております。手作りの苦心の跡を感じとっていただけましたら幸
甚です。