碁盤の鑑方について
碁盤の評価の拠りどころは、使用された素材の如何によって、そ
のものが適材であったか否かが重要です。商品としての価値も80
%以上は素材の適否によって決められると言っても過言ではあり
ません。これは低価格品には必ずしも当てはまりませんが、高級
品になればなるほど比重は大きくなります。
(1)本榧(日向産榧>地榧>中国産榧)
(2)公孫樹(3)桂(4)その他木材
(1)四方柾(2)天地柾(3)天柾(4)追い柾
(5)板目(木裏面と木表面の2通りあるが、木裏面の方が上位)
盤全体の木質が均一であること。したがって色彩も均一されたものがよい。
(1)木の特性である異方性の動きを安定させたもの
(2)一般的には目方が軽いこと
(3)手ざわりに水気を感じさせないもの
(4)石や駒を打って(指して)やわらかい感じのもの
(5)音響が冴えた高い音を出すもの
近年は機械鉋(きかいかんな)を使用して碁盤の各面を削ることが多く なりましたが、当店は伝統的な工法の手鉋(てかんな)で 製作しております。手鉋は機械鉋と比べ、盤面等が鮮やかな色彩に 仕上がります。しかし製作する技術がたいへん難しく、この手法を 行なっている工房は少なくなりました。このように手作りの工法を 用いた碁盤の方が高く評価されますので、木取りだけに目を奪われないよう ご注意ください。
6.碁盤の脚について
近年は機械脚の用いた碁盤が多くなりました。戦後に中国産の碁盤を
大量に扱っている業者が増え、それらは全て同じ形、同じ大きさの脚が用いられております。
当店はそれぞれの盤に合った脚があると考えております。
色合いや形が違うものを組み込むことにより、その材が持っている最高の碁盤に仕上げたい、
そんな思いから江戸時代から続く手彫りの脚による伝統的な工法を守り続けております。
手彫りの脚を用いた碁盤には全て脚部分の画像を掲載しておりますので、
それぞれ見比べていただければ違いがわかるかと思います。
どんなによい木取りの碁盤でも機械脚が付いているものは、手彫りと比べると評価を下げます。
機械脚は手彫りと比べて製作時間の掛かっていない分販売価格が安くなっていますので
実用品とお考えください。
目盛りにおいても機械による工法が多くなりました。
機械による目盛りは線が太く、凹凸が均一ではありません。そのため手作りの工法と比べると安く普及しています。
当店は江戸時代から続く太刀盛りによる手作りによる高い技術の工法を用いています。盛りの高さ、線の繊細さ、
漆の輝きが違います。ぜひ、お持ちの碁盤と見比べていただければと思います。